第52回 フィリピンで不動産を借りる

皆さん、こんにちは。Poblacionです。主人と一緒に東京に越してきた時、私達が最初にしなければならなかったのは、住む場所を探すことでした。東京での最初の二週間は、部屋探しに費やしました。いろいろなエリアに行っていくつもの部屋を見学して、やっと、東京湾の眺めが素晴らしく居心地の良い素敵なマンションを見つけることが出来ました(マニラ湾の眺めを楽しむことができた、私達のマニラの家を思い出させてくれます)。まさに一目惚れです!
東京での部屋探しの経験は、マニラで経験したものとはちょっと違っていました。例えば、フィリピンでは、殆どのマンションにふらりと立ち寄り(もちろん、富裕層向けの高級マンションや住宅地の場合は別です)、マンションに常設されているレンタルオフィスを探し、その当日に空き部屋を見学します。それに対して日本では、まず不動産会社に依頼し、見学の日程を組んでもらわなければならない、と聞きました。更に、日本には「礼金」というものもあると知り、大変驚きました(礼金とは、賃借人として受け入れてもらったことに対する貸主への「お礼」であると言われました)。フィリピンでは「礼金」というものは聞いたことがありません。おそらく、部屋を借りたいという人より空き部屋の方が多いためでしょう。
フィリピンでの暮らしや事業立ち上げを考えている方にとって、最大の関心事の一つは、住居、事務所スペース又は工場用地を借りることでしょう。以下に、フィリピンでの不動産探しに役立つと思われる賃貸借に関する規則や慣行について、お話します。

・賃貸借期間
外国人や外国企業が私有地を借りることができるのは、初期期間としては最長25年であり、これは一回だけ、最長25年まで更新することができます。外国投資家には、工業団地、工場、製造プラント建設等の用途を目的とする場合、50年というさらに長い賃貸借期間が認められていますが、投資家による長期賃貸借については、貿易産業省に登録する必要があります。 土地以外の不動産(ビルやマンションの部屋等)を外国人が借りることについては、特別な制限は一切ありません。

・支払賃料
日本と同様に、フィリピンの支払賃料も通常2つの項目、すなわち、純賃料と共益費(又は管理費)で構成されています。支払賃料は、契約署名後に先日付の小切手を貸主に渡して支払うのが慣習です。

・税金
賃料には通常12%の付加価値税(VAT)と源泉徴収税が課されます。
また、土地、建物その他の不動産については、地方政府による固定資産税(RPT)の査定が行なわれます。RPTは通常、貸主が既に肩代わりしているか、共益費の一部として組み込まれ済みですが、特に土地の賃貸借の場合には、RPT納付分を負担するよう貸主から要求される場合もあります。

・前払賃料及び保証金
賃貸借契約に署名すると、殆どの貸主から、前払賃料及び保証金の支払を要求されます。前払賃料と保証金は通常それぞれ、賃料2か月分相当の金額になります。

・手続
フィリピンの詐欺防止法上、期間が1年を超える賃貸借契約は書面により行なわなければならず、これに従わない賃貸借契約は執行不能となります。また、第三者に対する拘束力をもたせるためには、契約書に公証人の認証を取得し、登記局に登録する必要があります。ただし、公証人による認証も登記もされていない賃貸借契約であっても、貸主と賃借人の間で拘束力を有するものであることには変わりありません。

・転貸及び賃貸借契約の譲渡
殆どの賃貸借契約において、貸主による事前承諾なく、転貸又は賃貸借契約の譲渡を行なうことは禁止されています。賃貸借契約に転貸及び譲渡に関する規定が一切ない場合でも、賃貸借契約の譲渡については、貸主の承諾がなければできない、というのがフィリピン民法に基づく標準規則です。一方、転貸については、賃借人が貸主に対する通知を行わずに借りた施設を転貸することが、前記規則上認められています。ただし、転貸した場合でも貸主に対する責任は、賃借人が引続き負うこととなります。

・修繕
通常、賃貸物件を賃借に適した状態に保つために必要な大規模修繕については、貸主が全般的に責任を負い、微細な修繕については、賃借人の責任となります。

・改良
実際のところ、殆どの賃貸借契約において、賃貸物件に対して賃借人が改良を施す場合には、事前に貸主の承諾を得なければならないことが規定されています。賃貸借契約の終了後、改良は貸主の所有物となり、賃借人には払戻しを受ける権利はないものとされます。
賃貸借契約に改良の取扱に関する規定が一切ない場合、フィリピン民法上の標準規則に基づき、貸主は賃貸物件に施された有用な改良について、その価値の2分の1の金額を賃借人に払い戻すことを条件として保有することができます。貸主が賃借人への払戻しを希望しない場合、賃借人はその改良を撤去することができます。装飾品(すなわち、壁画や像等、純粋に贅沢な鑑賞品として設置された物)の場合、貸主は、その価額の支払を条件として、その装飾品を保有することができます。貸主がその装飾品の保有を希望しない場合、賃借人は、賃貸物件の損壊を一切もたらさないことを条件として、その装飾品を撤去することができます。

慣れない異国での生活、皆様に合った快適で良い住居が見つかるといいですね!


*本記事は、フィリピン法務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。フィリピン法務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。