第5回 新しい中国語

みなさん、こんにちは。黒田日本外国法律事務弁護士事務所の外国法事務律師の佐田友です。

先ごろ、週末を利用して、台北市内を散策することにしました。台北市内でもまだ行ったことがないところがたくさんあるので、どこに行こうかと迷った挙句、同僚に勧められていた台湾大学に行ってきました。

台湾大学は入るとすぐ、大王椰子を両脇に配した広い道があり、圧倒されます。大王椰子の数もすごく、大王椰子の並木道と言われて有名なようです。また、敷地がとっても広いんです。自転車で移動している人も多いですね。大学内には池などもあり、家族連れが憩いの場として使っていたり、スポーツを楽しんでいる人々、オリエンテーションか何かで集団行動している高校生など、たくさんの人を見かけました。

その中でも異質な感じで、目立っていたのが、アニメのコスプレを楽しんでいる方々でした。最初は、「へぇ、台湾にもこういう人たちがいるんだぁ」という程度でしたが、大学内のいろんなところにコスプレイヤーさん(コスプレしてる人のことです)、カメラでコスプレ姿を撮影している人々を目撃して、びっくりしてしまいました。

これが、台湾大学の毎週末の光景だとしたら「すごいなぁ!!」と思って、一人のコスプレイヤーさんに聞いてみると、さすがにそうではなく、何か関係のイベントがあったからだということでしたが。

このコスプレ「cosplay」という言葉は、元々は、「コスチューム プレイ」の略語として使われていた「コスプレ」なんでしょうが、既に台湾や中国の若者の間では新語として受け入れられているようです。中国語にすると、「角色扮演」というようですが、「cosplay」や、そこから派生した「cosplayer」という言葉がそのまま日常用語として使われているようです。

会話の中で当たり前に、「今天, cosplayer特別多!!」とか使われている、つまりは「cosplay」「cosplayer」という言葉が新しい中国語になったということもできるんじゃないですかね。
日本のアニメ文化とともに、コスプレ文化もアジアで広まってるのは間違いないですね。私が以前にいた広州でも市内で「cosplayer」を見かけましたし、シンガポールに観光に行ったときにも同様に見かけましたから。

どんなアニメが今、流行しているかは私には正直わからないのですが、中国の若い大卒位の人に聞くと、ワンピースやナルト(中国語では「海賊王」「火隱忍者」というのがタイトルです)を見たことがあるようですし、他のアニメやライトノベルに興味を持つようになっている人も一定数いるのでしょう。

ちなみに、台湾では外来語に関し、どのような漢字をあてるか、例えば「obama」をどのように漢字で表記するかについて、何かの法律に基づき、どこぞの機関が決めるというようなことはないようです(ちなみに、「obama」は「歐巴馬」です)。

もちろん、国や政治家の名前などは政府関係で公式に使用される表記があることから、その表記が定着していくようですが、その他の外国人の名前などは必ずしも、この漢字を使用しないとダメということはないようですね。

私がネイマールというブラジル代表のサッカー選手(英語では「Neymar」と表記します)の中文名称をネットで探すと、「尼馬」「內馬爾」の二つの名称が出てきました。

同僚の台湾人に聞いても、「cospaly」「cosplayer」については、漢字(「角色扮演」など)で表現するよりは、そのまま新しい中国語として使用しているとの見解でした。

新しい言葉は不断に登場してきますが、5年後、10年後に定着する言葉は一部かもしれません。今日は、コスプレイヤーさんを台湾大学で見かけてびっくりしたことから、思いつくままに書かせていただきました。

ちなみに私は大学時代の学園祭で女装したことがありますが、コスプレの趣味はございません。あしからず。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

弁護士 佐田友 浩樹 (黒田日本外国法事務律師事務所 外国法事務律師)

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日・中・英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。