第37回 落とし物について〜その1

皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の外国法事務律師の佐田友です。

最近、日本旅行業協会が発表した、夏休み海外旅行人気ランキングトップ10の第一位は、ハワイを抑え台湾がナンバーワンでした。多くの日本人が来たがる場所にいられるというのは、なんだか嬉しい気がします。前年比で3割から4割程度の伸び率で台湾ツアーの予約が埋まっているようですので、台北などの観光地では、普段より多くの日本人を見かけることでしょう。夏休み時期の台湾は、とってもとっても暑いのですが、それ以上に美味しいフルーツや料理、観光地が魅力なんでしょうね〜。日本人が大好きなハワイを超える人気があるとは、少々驚きました。

ちなみに、3位以下は、シンガポール、グアム、イタリア、ベトナムと続きます。イタリアに夏休みに行けば、そんなに円高でもないので結構な出費になると思うのですが、なんとも羨ましい限りです。。。

さて、本日と次回は、落とし物というテーマで2回に分けて、書いてみようと思います。このようなテーマを選んだのは、最近、台湾で働く日本人の懇親会で、「台湾は落とし物が戻ってくるね〜」という話題で盛り上がったからです。日本も世界に誇る安全な国で、治安がよいとともに「落とし物が戻ってくる」ということを売りにしているところがありますが、最近でも、その看板も維持できているか、若干、疑問なところもありますよね。それが、台湾では、最近でも「落とし物が戻ってくる」ということで、私の周囲の何人かでは一致したのでした。私の横にいた方は、なんと財布が4回戻って来たとのことでした(残念ながら、そのうち1度は現金を抜かれていたそうですが、財布自体は戻って来たとのこと)。

かくいう私も、タクシーに乗っていた際に、ポケットから携帯電話を落として、そのまま代金を支払い降りてしまったことがありました。降りてから、すぐに気付き、たまたま領収書をもらっていたので、すぐに電話したところ、運転手さんが降りた地点に戻ってきてくれて携帯電話を無事、受け取ることができたのです。お礼を渡そうとしたのですが、「いいよ、いいよ」って感じで、受け取ってもらえませんでした。

私以外にも、同様にタクシーに落とし物というか、忘れ物をされた方がおられたのですが、その方は領収書を受け取っていなかったので、やむを得ず、近くの派出所にかけこんだところ、しばらくして、タクシーの運転手から届け出があって忘れ物が戻ってきたという話でした。

このようにタクシーに落とし物や忘れ物をするケースというのは、実際、ちょくちょくあるようで、タクシーの運転手がよく聞くラジオ局に依頼して、「どこどこエリアで、何時ころ、何々の忘れ物が発生したのですが、あなたのタクシーではないですか?」というような告知放送をラジオで流すことができるんですって。先の方も、派出所で、タクシー内の忘れ物を探す手段として、ラジオに告知放送を流す方法を勧められたそうです。こういう忘れ物(落とし物)探索手段は、日本にはないですよね〜。全く実効性が無ければ、このような手段は廃れていくのでしょうが、実際に忘れ物などが届け出られる場合があるから残っているんでしょうね。いやあ、すごい!!

もちろん、すべてのタクシーの運転手が、忘れ物などを届け出てくれるわけではないでしょうが、そのような運転手がいるという話を聞くと、我々、日本人が失ったか、あるいは失ってしまいそうな良き精神が、台湾にはまだ残っていると思わせられます。こんな素晴らしい精神は、ずっと失われないでいてほしいですね〜。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

弁護士 佐田友 浩樹 (黒田日本外国法事務律師事務所 外国法事務律師)

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日・中・英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。