第49回 台湾の祝日について

皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の外国法事務律師の佐田友です。

今年の10月2日が何の日だったかご存知でしょうか?日本では「豆腐の日」らしいですが、台湾では実は「敬老の日」だったんです。今年の10月2日は旧暦の9月9日に当たり、台湾では旧暦の9月9日を「敬老の日」としていることを最近知りました。
旧暦の9月9日は、昔から中国では「重陽節」として長寿を祈る日であったようです。台北市政府は、今年の10月2日に合わせ、65歳以上の方が無料で利用できる施設情報などをチラシで告知していました。10月2日当日は、台北市内の地下鉄(MRT)や貓空のケーブルカーを終日無料で利用できたり、あるゴルフ練習場ではボールが二籠、無料で提供されたりしていました。「敬老の日」当日だけでなく、通年で台北市立美術館などは入館でき、天母のテニスコートでも、朝の5時から8時までは無料で通年、使用できるようです。なかなか充実のサービスですよね~。

このように台湾の「敬老の日」は65歳以上の方にとってはありがたい日になっていますが、日本のような祝日ではないので、一般学生や仕事をしている人がお休みをいただけるわけではないんですね~。

そんなこんなで台湾の祝日ってどのような定めになっているのか興味が湧き、調べてみました。まず見つけたのが労働基準法施行細則にある「記念日、労働者の日及びその他中央の主管機関が定める休日」という条項です。同規定には、「休日とすべき記念日」や「その他中央の主管機関が定める休日とすべき日」として、それぞれ具体的な記念日等が列挙されており、 前者の「記念日」には、中華民国開国記念日(1月1日)や孔子生誕記念日(9月28日)などがあり、後者の「その他中央の主管機関が定める日」には、春節(旧暦1月1日から3日まで)や端午節(旧暦5月5日)、台湾光復節(10月25日。台湾における日本の統治が 終わったことを記念する日)などがありました。
「あれっ、うちの会社は孔子生誕記念日や台湾光復節は休みじゃないなぁ」と思われるかもしれません。その通り、これらの記念日などは休日ではありません。

労働基準法施行細則上は、「休日とすべき記念日」「その他中央の主管機関が定める休日とすべき日」として記載がある日でも、実際に休日となるかどうかは、また別の「記念日及び節日実施方法」(中文では「紀念日及節日實施辦法」)という法規に規定されていました。つまり、記念日や節目の日(中文では「節日」)がすべて祝日(会社や学校が休みになるという意味で使っています)になるわけではないんです。結果的に、週休二日制を採る多くの会社は、中華民国開国記念日、平和記念日(2月28日)、国慶日(10月10日)、春節、民族お墓参りの日(旧暦の清明節に準じる)、端午節、中秋節(旧暦8月15日)、旧暦の大晦日(旧正月、すなわち旧歴1月1日の前日のことです)、子供の日(4月4日)に加え労働節(5月1日)が休日となり、合計12日とするのが一般的なようです。

日本の祝日は「国民の祝日に関する法律」に明確に規定されていますので、台湾の祝日は「少し複雑な規定のされ方だなぁ」というのが素直な感想です。

「記念日及び節日実施方法」には、節目の日として「道教節」「婦女節」「青年節」「児童節」「労働節」などが挙げられており、関連機関、団体、学校では慶祝活動を挙行するということが規定されています。しかし、「敬老節」は挙げられていません。ただ、今後、台湾では高齢化が一気に進むことから、社会全体で高齢者を大切にしようという動きを定着させるべく、将来的に「記念日及び節日実施方法」に「敬老節」が追加される日が来るかもしれませんね~。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

弁護士 佐田友 浩樹 (黒田日本外国法事務律師事務所 外国法事務律師)

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日・中・英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。