第66回 動植物の台湾への持ち込み

皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の外国法事務律師の佐田友です。

早いもので旧正月が近づいてきましたね〜。日本にいた頃は、旧正月を意識することは全くありませんでしたが、中国や台湾で暮らすと「大事なお休み!!」として生活の中に入ってきます。特に、中国は、沿海部に働きに出て来ていた方が、内陸部に一斉に里帰りする一大イベントで、この大移動のためのチケット争奪戦や移動時の便利グッズの話などがよくニュースで取り上げられていましたね〜。

そうそう、最近知ったのですが、韓国でも旧正月のほうが、新暦のお正月より大事なイベントであり、連休になるのは旧正月の方なんですって。そう考えると、東アジアの国のうち、日本以外は旧正月を祝うんですね。日本でも「山の日」に続く、次の祝日候補が見つからなければ、旧正月を検討するのもよいかもしれませんね〜(笑)。

さて、本日は、旧正月の休暇などを終えて、日本や海外から台湾に戻ってくる際に気をつけなければならない検疫について書いてみたいと思います。

そもそも検疫とは、動物や植物などの持ち込みを防ぐことで、国内に感染症の病原体等が持ち込まれるのを防ぐために空港などで行われる検査等の措置をいうのですが、台湾政府から、持ち込みが禁じられているもの、検疫が必要なものなどの情報をまとめた参考表が公表されています。

この参考表は、「動物またはその製品」「植物またはその製品」と二種あり、それぞれに税関に申告しなければならないもの、申告が不要のもの、そもそも持ち込みが禁じられているものなどが例示列挙されているので、「これって持ち込んでよいのかな?」という疑問を解決できるかもしれません。

上記参考表によれば、そもそも台湾に持ち込むことが原則として禁じられているものとして、「土壌、土壌が付着した植物、植物製品」や果物、生きている昆虫などが挙げられています。日本と台湾は距離も近いので、ついついうっかり国内移動の感覚で果物などを台湾に持ち込んでしまいそうですが、税関で見つかれば、当然に没収されてしまうので、ご注意くださいね〜。

私の周りでも、りんごを没収された方がいましたよ。ただし、缶詰の果物やジャムなどは検疫の申請すら不要で台湾に持ち込めるとされています。生鮮果実と缶詰で全く扱いが違うんですね。

それから、お米には拘っている方も多いと思いますが、上記参考表及び税関のサイトによれば、1キロまでの持ち込みの場合、検疫関連書類の提出は不要とされているものの、税関に対して検疫申請をしなければならないとされています。ただ、申請については、現場の担当者によって扱いが異なるのか、同僚に税関に聞いてもらった際には、1キロまでの持ち込みなら申請は不要とのことでした。いずれにしろ1キロって少なすぎですけどね〜。1キロを超えて台湾に日本のお米を持ち込むには、事前に行政院農業委員会農糧署に許可を求めなければならないようなのでご注意ください。

最後に個人的に気になっていた「あじ」や「かます」などの干物についても調べたのですが、乾燥等の加工処理を経て、完全に内臓が除去された水産品については、動物検疫の申告の必要がないとされており、少なくとも個人が自分で食べる用に持ち込むのであれば持ち込みは可能であると解することができそうです。ただ、先ほども触れたように、税関というところは担当者によって解釈が異なる可能性もありますし、何か別の申告の要件があったとして没収される可能性がないわけではないでしょうから、少しずつチャレンジしてみましょうかね〜。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

弁護士 佐田友 浩樹 (黒田日本外国法事務律師事務所 外国法事務律師)

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日・中・英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。