第113回 台湾と日本の温泉法

皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の佐田友です。

いやあ、先週末は寒かったですね〜。天気予報通りに、非常に強い寒波の影響で、台湾でもいろんなところで雪やみぞれが降ったとのことです。今回、平野部でも雪がちらついたという話もあるようですが、世界中で異常気象が報道されている昨今、そう遠くない未来に台北市内でもたくさんの雪が降る日が来るような気がしてなりません。先週末テレビのニュースで、台北市内でバイクを運転する人が滑って転倒する映像が流れていました。頻繁に遭遇するわけではないとはいえ、台湾の方にも雪道や凍結した道路で車やバイクを運転することの危険性についてしっかり理解していただきたいと思います。雨(あるいは雪)、低温という悪天候の中での運転には細心の注意が必要です。私も昔、運転中にひやひやしたことがありますが、橋やマンホールの上などを通過する際には特に気をつけてもらいたいものです。

しかし、こう寒いと、「温泉にのんびり漬かりたいなぁ」と思われる方も多いのではないでしょうか。私も春節(旧正月)のお休みに日本に戻るのですが、温泉のあるホテルに泊まるつもりです(笑)。だからというわけではありませんが、本日は温泉に関わる日本と台湾の法律を取り上げてみます。

台湾では温泉は国家のもの

さすが温泉が湧出(ゆうしゅつ)する日本と台湾、いずれも温泉法という法律が制定されています。

まず台湾の温泉法は、2003年に公布された比較的新しい法律です(日本の温泉法は1948年に制定されました)。台湾の温泉法は、日本とは異なり、「温泉とは国家の天然資源であり、人民が土地所有権を取得したことにより影響を受けない」として、温泉自体が国家のものであることを明確に規定しています。この点、日本の温泉法においては、「この法律で『温泉』とは、地中から湧出する温水、鉱水および水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く)で、別表に掲げる温度または物質を有するものをいう」と定義されているだけです。

よって、台湾では温泉そのものを個人なり会社が所有することはできないという帰結になり、温泉に関する権利は、「温泉水権」として、水利法に基づき温泉の水を取得し使用または収益する権利として存在することになっています。そして、当該権利は直轄市や県などの主管機関に申請を行い登記が認められて初めて取得できるものとされています。

日本では温泉権の譲渡も

これに対して、日本ではある土地から温泉が出れば、当該土地の所有者が温泉を自ら使用する権利を有することについて、特に政府に許可を求める必要はないので、台湾とは違いますね。もちろん日本においても誰でも勝手に自分の土地だからといって温泉を求めて掘削してよいわけではありませんけどね〜。

日本の温泉法では、この点に関し「温泉を湧出させる目的で土地を掘削しようとする者は、環境省令で定めるところにより、都道府県知事に申請してその許可を受けなければならない。前項の許可を受けようとする者は、掘削に必要な土地を掘削のために使用する権利を有する者でなければならない」と規定されています。また、日本では湧出した温泉について、慣習的に独立した温泉権として譲渡も行われ、戦前の裁判例ですが、「地方慣習法ニ依リ排他的支配権ヲ肯認シ得ル」としたものがあります。

私は温泉に詳しいわけでもなく、またそんなに数多く行ったことがあるわけでもありませんが、温泉自体は大好きですので、機会を見つけていろいろな温泉に行ってみたいと思っています。台湾には泥の温泉として有名な温泉が台南市の関仔嶺にあると聞きますので、ここにはいつか行ってみたいですね〜。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

弁護士 佐田友 浩樹 (黒田日本外国法事務律師事務所 外国法事務律師)

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日・中・英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。