外国人が台湾の土地を取得するにあたっての制限

「外国人は台湾の土地を取得することはできるのか」、「外国人は台湾の土地をどのように取得するのか」という質問はよく受け、また外国企業のために各種の土地取得手続および土地の相場の調査もよく行っている。そこで、今回は外国人が台湾の土地を取得するにあたっての重要な法令規定について説明する。

一、外国人が台湾の土地を取得するにあたっての国籍の制限

土地法第18条には、「中華民国における外国人による土地の権利の取得または設定は、条約又はその自らの国の法律に従い、中華民国の国民が当該国において同様の権利を享受することができる場合に限られる。」と規定されている。簡単に言えば、基本的に台湾人による土地の取得を認めている国の国民でなければ、台湾の不動産を取得することができないということになる。

内政部の資料(http://www.land.moi.gov.tw/onlinebill/705-n1.pdf)によれば、日本では、台湾人が日本の土地を取得することを認めてられているため、日本人も台湾の土地を取得することができると解される。

二、外国人が台湾の土地を取得するにあたっての土地の種類の制限

土地法第17条第1項には、「次の土地は移転、抵当権などの負担の設定をしてはならず又は外国人に賃借してはならない。一、林地。二、漁業地。三、狩猟地。四、塩性地。五、鉱床。六、水源地。七、要塞軍備区域及び領域の近隣地の土地。」と規定されている。言い換えると、上記の土地に該当しないのであれば、外国人は原則として、「建築用地」、「住宅用地」などいずれも取得可能であると解される。

三、外国人が台湾の土地を取得するにあたっての、土地の用途、面積及び場所の制限

土地法第19条第1項には、「外国人は自らの使用、投資又は公益目的に供するために、次の各号の用途の土地を取得することができるが、その面積及び所在場所について、これらを管理する直轄市又は県(市)政府が法に基づき定めた制限を受けなければならない。

一、住宅。二、営業場所、オフィス、商店及び工場。三、教会堂。四、病院。五、外国人居留者の子供が通う学校。六、大使館・領事館及び公益団体の会館。七、墓場。八、国内の重大建設、全体経済又は農業・牧畜業の経営に有益な投資であり、かつ中央目的事業主管機関によって認可された場合。」と規定されている。

本条の規定によれば、外国人は台湾の土地を取得するにあたって、同法第17条の土地の種類の制限を受けるほか、その用途、面積及び場所についても、土地の所在する場所の地方政府の各種法規命令の制限を受ける。

以上のような規定のほか、外国人が台湾の土地を取得する際は、土地の性質(工場用地、住宅用地等)、所在地(工業地区、商業地区等)によって、それぞれ異なる申請、取得手続が必要となることに注意が必要である。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は、当事務所にご相談ください。

【執筆担当弁護士】

弁護士 黒田健二 弁護士 尾上由紀 台湾弁護士 蘇逸修