公正取引法における「カルテル行為」について

公正取引委員会は本年(2016年)4月、台湾の倉庫保管運送業者21社に対し、3トン以下のCFS輸出貨物積み卸し時の機械使用料の徴収を共同で再開したことが違法なカルテル行為に該当するとして、計7260万台湾元の過料を課した。過料の額がかなり高額であったため、本件は各界の注目を集めた。

「カルテル行為」とは、公正取引法(以下「本法」という)第14条第1項の規定によれば、競争関係にある同一の生産・販売段階における事業者が契約、協定又はその他の方式の合意により、商品若しくは役務の価格、数量、技術、製品、設備、取引相手、取引地域又はその他の互いに事業活動を拘束する行為を共同で決定し、生産、商品取引又は役務の供給・需要の市場機能に影響を及ぼすに足る場合を指す。

カルテル行為は完全に禁止されているわけではなく、本法第15条によれば、以下の条件に合致し、かつ事前に主管機関(公正取引委員会)に申請して許可を受けた場合は、適法なカルテル行為に該当する。

  1. コストを引き下げ、品質を改良し又は効率を向上させるため、商品又は役務の規格又は型式を統一すること。
  2. 技術を向上させ、品質を改良し、コストを引き下げ又は効率を向上させるため、商品、役務又は市場について共同で研究開発を行うこと。
  3. 事業者の合理的な経営を促進するため、それぞれ専門分野を発展させること。
  4. 輸出を確保又は促進するため、海外市場の競争について特別に約定すること。
  5. 貿易の機能を強化するため、海外商品又は役務の輸入について共同行為を行うこと。
  6. 不景気により同一業界の事業者が継続維持の困難又は生産過剰に至り、計画的に需要に適応させるため、生産・販売数量、設備又は価格を制限する共同行為を行うこと。
  7. 中小企業の経営効率を向上させ又はその競争力を強化するために行う共同行為であること。
  8. その他の産業発展の促進、新たな技術の創出又は経営の効率のための必要な共同行為であること。

本事例において、公正取引委員会の調査の結果、倉庫保管輸送業者21社は何度も会食等の方式で料金徴収について共同で協議の上、3トン以下のCFS輸出貨物積み卸し時の機械使用料の徴収を再開することに合意したことが判明した。また、これらの業者の売上額の合計はCFS輸出運送量の8割以上に達していた。よって、これらのカルテル行為は市場の自由な競争秩序を破壊しているため、重い過料が決定されたものである。

競争相手との間で商品、役務の価格、料金徴収等について共同で協議する行為は、台湾であれ国外であれ、競争法違反となるリスクが高いため、特に注意する必要がある。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は、当事務所にご相談ください。

【執筆担当弁護士】

弁護士 黒田健二 弁護士 尾上由紀 台湾弁護士 蘇逸修