外国人の台湾における就業規制の大幅緩和

優秀な外国人人材の台湾での就業を促進するため、立法院は2017年10月31日に「外国人専門人材の招聘及び雇用法(以下「本法」という)」を可決した。

本法の重要なポイントは以下のとおりである。

1.就労、査証及び在留規制の緩和

  1. 「就業許可」、「査証」、「外国人・華僑の在留許可」、「入国許可」」等の機能を組み合わせた「就業ゴールドカード」の発行により、外国人が台湾で就労する場合の利便性が向上した。また、外国人の雇用許可期間が3年から5年に延長された。
  2. 外国人芸術就業者は台湾の雇用主を通さずに自ら就業許可を申請することができるようになった。
  3. 専門の知識又は技術を備えた外国人教師が塾で授業することが自由にできるようになった。
  4. 永住権を取得しようとする外国人は年間183日以上台湾に滞在しなければならないとの規定が廃止された。

2. 外国人の父親、母親、配偶者及び子女の在留規制の緩和

  1. 永住権取得済みの外国人専門人材の配偶者、未成年の子女も台湾での永住を申請することができるようになった。
  2. 永住権取得済みの外国人専門人材について、その成年子女の台湾での就業制限が緩和された。
  3. 外国人の直系尊属について、台湾への親族訪問期間が6カ月から1年に延長された。

3. 定年退職、健康保険及び租税優遇の提供

  1. 永住権を取得した外国人専門人材に台湾の労働者定年退職金制度を適用することが可能になった。
  2. 外国人専門人材の配偶者、未成年の子女は台湾の国民健康保険に速やかに加入することができるようになり、原本取得までの6カ月の待機期間がなくなった。
  3. 外国人専門人材が台湾に来てから最初の3年間における給与所得のうち300万台湾元を超える部分については折半して課税されることになった。

本法は2018年3月までに正式に施行される予定である。施行後は、外国人の台湾での就労、定住はますます便利になるものと期待されている。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は、当事務所にご相談ください。

【執筆担当弁護士】

弁護士 黒田健二 弁護士 尾上由紀 台湾弁護士 蘇逸修