第470回 携帯を拾った場合、その中の情報の所有権を取得できるか

台湾の民法第807条第1項では、遺失物について、引き取る権利を有する者が通知または掲示の最終日から6カ月以内に受け取らなかった場合、拾得者がその所有権を取得すると定めています。

しかし、科学技術の進歩に伴い、大量の個人情報やプライバシーが含まれたスマートフォンがしばしば遺失物となっており、拾得者がその所有権を取得した場合、遺失者の個人情報またはプライバシーが外部に漏れる可能性があります。

このため、行政院法務部は解釈により、「掲示期間が終了しても受け取られなかった携帯電話またはそのほかのモバイル端末の遺失物については、拾得者が原始的にその所有権を取得するが、それらに含まれている他人のプライバシーに関する情報または個人情報は取得対象に含めない。掲示機関は、遺失物における個人情報が含まれた部分を削除しまたはそのほかの適切な方法で処理した上で拾得者に引き渡すことができる」と説明しました。

個人情報は取得不可

ただし、どのようなものが個人情報またはプライバシーに該当するのか警察では判断が難しく、削除が不十分であったり、間違って削除してしまったりする可能性や、保護措置を解除する技術がない可能性があるほか、警察には一件一件チェックするのに十分なマンパワーや資源もないため、実務上は、個人情報またはプライバシーを不正利用した場合には法的責任を負わなければならないということを拾得者に告げたり、拾得者の同意を得た上で携帯電話を廃棄したりするしかない状況です。

これについては、日本の遺失物法第35条の規定を参考にし、法律を「遺失物が個人の秘密に属する事項、遺失者またはその関係者と認められる個人の住所または連絡先、個人情報データベースなどが記録された文書、図画または電磁的記録に該当する場合は、その所有権を取得することができない」という内容に改正することにより、「携帯電話の中のデータ削除のために警察がマンパワーや資源を割いた上に、遺失者の個人情報または秘密を保護する効果があるとは限らない」という状態を回避することができると思います。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

台湾弁護士 鄭惟駿

陽明大学生命科学学部卒業後、台湾企業で特許技術者として特許出願業務に従事した後、行政院原子能委員会核能研究所での勤務を経験。弁護士資格取得後、台湾の法律事務所で研修弁護士として知的財産訴訟業務に携わる。一橋大学国際企業戦略研究科を修了後、2017年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。