第14回 立法院が営業秘密法改正案を可決、営業秘密に対する侵害行為は重刑に処される

立法院は1月11日、営業秘密法の改正条文を最終可決した。改正のポイントは以下の通りだ。

一.新法第13条の1によれば、行為者が台湾域内において窃取、横領、無断複製等の不正な方法により営業秘密を侵害した場合については、5年以下の有期懲役に処し、かつ100万元以上1,000万元以下の罰金を併科することができる。また、犯罪行為者の得た利益が罰金の最高額である1,000万元を超える場合、その得た利益の3倍の範囲を上限とし、得た利益の金額を考慮の上、併科する罰金を増額することができる。

二.新法第13条の2によれば、いわゆる「国際的商業スパイ行為」について、台湾内外で営業秘密を使用することを企ててその営業秘密を侵害した場合、より重い処罰が下され、法定刑は1年以上10年以下の有期懲役であり、300万元以上5,000万元以下の罰金を併科することができる。また、犯罪行為者の得た利益が罰金の最高額を超える場合、その得た利益の2〜10倍の範囲を上限とし、得た利益の金額を考慮の上、併科する罰金を増額することができる。

三.新法第13条の4によれば、法人の代表者、法人または自然人の代理人、被雇用者またはその他の従業員が、業務の執行により第13条の1、第13条の2の犯罪行為を行った場合、その行為者を処罰するほか、当該法人または自然人に対しても同条の罰金を科す。ただし、法人の代表者または自然人が犯罪の発生について、すでにそれを防ぐための行為に尽力している場合はこの限りではない。

競争力保護が目的

立法委員によるとここ数年、台湾の科学技術産業界では、企業の上層部の技術者が外国の会社にたびたび高給でヘッドハンティングされて、営業秘密が域外に流出している。これにより台湾の産業におけるイノベーション能力が損なわれているため、今回の法改正により、台湾の産業の営業秘密および国際競争力の保護を強化したいとのことだ。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

台湾弁護士 蘇 逸修

国立台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、台湾法務部調査局へ入局。数年間にわたり、尾行、捜索などの危険な犯罪調査の任務を経て台湾の 板橋地方検察庁において検察官の職を務める。犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などで検事としての業務経験を積む。専門知識の提供だけではなく、情熱や サービス精神を備え顧客の立場になって考えることのできる弁護士を目指している。

(本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに執筆した連載記事を転載しております。)