第111回 販促用の贈答品またはくじ引きの景品の金額制限について

消費者の購買意欲を高めるため、実務上、少なからぬ事業者が商品または役務の販売時に贈答品を贈呈したり、くじ引きイベントを実施するが、台湾法では、贈答品およびくじ引きの景品について一定の金額制限がある。2013年、台北101ビルのショッピングモールで行われたくじ引きイベントでは、3,000台湾元以上の消費を参加条件として、アウディの乗用車が景品になった。当時、公正取引委員会は、当該アウディの乗用車の価値(約289万元)は許可されている景品金額の法定上限(13年当時の法定上限は225万3,600元)を超えていると判断し、台北101に対し10万元の罰金を科した。

販促用の贈答品またはくじ引きの景品の金額制限については、現行の「事業者贈答品・景品提供額規則(以下『本規則』という)」において規定されている。主な規定は以下の通りである。

1)贈答品の上限金額については、本規則第4条によれば、商品または役務の価値が100元以上である場合、商品または役務の価値の2分の1とする。商品または役務の価値が100元未満の場合は、50元とする。

2)くじ引きイベントの景品1点の上限金額については、本規則第6条によれば、事業者がくじ引きを行う場合、その1等賞の金額は、500万元を超えてはならない。

3)くじ引きイベントの全景品の上限金額については、本規則第5条の規定によれば、事業者がくじ引きを行う場合、その年間景品総額の上限は以下の通りである。

(1)前会計年度の売上高が30億元以上である場合、6億元とする。

(2)前会計年度の売上高が7億5,000万元を超え、30億元未満である場合、売上高の5分の1とする。

(3)前会計年度の売上高が7億5,000万元以下である場合、1億5,000万元とする。

本規則の規定に違反した場合、公正取引法第42条に基づき、事業者は5万元以上、2,500万元以下の罰金を科されるので、特にご注意いただきたい。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

台湾弁護士 蘇 逸修

国立台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、台湾法務部調査局へ入局。数年間にわたり、尾行、捜索などの危険な犯罪調査の任務を経て台湾の 板橋地方検察庁において検察官の職を務める。犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などで検事としての業務経験を積む。専門知識の提供だけではなく、情熱や サービス精神を備え顧客の立場になって考えることのできる弁護士を目指している。

(本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに執筆した連載記事を転載しております。)