第128回 週休2日制の実施など

2015年12月9日、同年6月30日に改正された労働基準法に関する、労働基準法施行細則(「改正労働基準法施行細則」)の一部の条文が公布された。

まず、上記により、16年1月1日から労働者の週休2日制が実施されることとなった。

週休2日制の導入に伴い、関連措置も同時に講じられた。そのうち国定休日については、以前、公共部門で週休2日制が実施された際の処理モデルを参考にして、改正労働基準法施行細則第23条により、国定休日が従来の19日から12日に変更されたが、労働者らにとって重要な意義のある「労働節(メーデー、5月1日)」は残され、また、全体として、労働者の年間の休日は6日増えることになった。

出勤記録の記載を要求

また、労働者の休日に関する権利を保護するため、改正労働基準法施行細則第23条の1に、国定休日が定例休暇または休日に当たる場合には振替休日を与えなければならず、使用者が法定の所定労働時間外において労働者に出勤させ、労働させることは、労働時間の延長に該当し、時間外手当を支給しなければならない旨を明確に規定した。さらに、同細則第21条の規定では、出勤記録の記載(出勤簿、出勤カード、カードリーダー、アクセスコントロールカード、生体認証システム、コンピュータ出勤記録システムまたはその他、出勤時刻を照合できるツールによる記録が含まれる)が要求されている。

次に、上記改正により、少年工の労働条件が引き上げられるとともに、同一の労働に対しては同一の報酬を与えるとの原則を実行するため、少年工の基本給は、通常の基本給の70%を下回ってはならないとする現行の労働基準法施行細則第14条の規定が削除され、少年工も通常の基本給に関する規定による保障を受けられるようになった。

所定労働時間が1週間40時間に

次に、上記改正により、労働基準法第30条第1項の規定については、労働者の所定労働時間は2週間当たり84時間から1週間あたり40時間に変更され、16年1月1日から施行されることとなった。

上記のほか、16年1月1日から、▽出勤記録の保存義務が5年間に引き上げられること▽労働者が出勤記録の副本やコピーを使用者に申請することができるようになること▽使用者が法定の所定労働時間が短くなることにより賃金を減らしてはならないこと▽労働者が家族の世話をする必要により、使用者と協議した上で出退勤時刻を調整できるようになること──などの措置が同時に施行される。

上記の通り、労働者の労働条件について大幅な改正があったことに留意する必要がある。


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執筆者紹介

弁護士 尾上 由紀

早稲田大学法学部卒業。2007年黒田法律事務所に入所後、企業買収、資本・業務提携に関する業務、海外取引に関する業務、労務等の一般企業法務を中心として、幅広い案件を手掛ける。主な取扱案件には、海外メーカーによる日本メーカーの買収案件、日本の情報通信会社による海外の情報通信会社への投資案件、国内企業の買収案件等がある。台湾案件についても多くの実務経験を持ち、日本企業と台湾企業間の買収、資本・業務提携等の案件で、日本企業のアドバイザー、代理人として携わった。クライアントへ最良のサービスを提供するため、これらの業務だけでなく他の分野の業務にも積極的に取り組むべく、日々研鑽を積んでいる。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。