第135回 外国人税金還付の関連規定改定、還付申請がより便利に

財政部は2016年1月に「外国人旅行客による特定商品の購入に対する営業税還付申請についての実施弁法(以下「本弁法」という)」を改定し、外国人旅行客(中華民国ではないパスポートを保持して入境し、かつ滞在日数が入境日から183日に達していない外国人をいう)の税金還付に関する制限を大幅に緩和する。新法は16年5月1日から施行され、短期の仕事、出張または旅行で台湾に来る日本人は、税金還付がさらに便利になる。本弁法の修正のポイントは次のとおりである。

免税下限引き下げ、出国期限延長

一.免税下限の引き下げ
現行法の第3条第3項の規定に基づくと、外国人旅行客が税金還付を申請するには同日、同一店舗で最低3,000台湾元の購入が必要だったが、新法では免税下限が2,000元へと引き下げられる。

二.商品購入後の出境期限の延長
現行法第3条第5項の規定に基づくと、外国人旅行客は商品購入後、30日以内に当該商品を携帯して出境しなければ、税金還付申請を行うことができないが、新法ではこの期間が90日に延長される。

三.税金還付手段の増加
現行法の税金還付は「飛行場、港での税金還付」、「現場での小額税金還付(商品を販売した百貨店などの商店において税金還付手続きを行うことをいう)」であったが、新法では「特約市区での税金還付(政府が委託する民間業者が税金還付サービスを行うことをいう)」が追加されたことにより、外国人旅行客の税金還付手続きの手段が増えた。このほか、「現場での小額税金還付」は、現行法の規定に基づくと、同日、同一店舗での累計税金還付額が1,000元以下(税込購入額約2万1,000元)でなければ税金還付を受けられなかったが、新法では累計購入金額が2万4,000元以下であれば、現場での小額税金還付を受けられる。

小額税金還付手続き場所を増設

このほか、新法では「現場での小額税金還付」を行える経営者の条件も緩和され、多くの商店が外国人旅行客に対して小額税金還付サービスを行えるようになった。

台湾は日本と同じく、「買い物天国」として名高い。台湾の営業税(日本の消費税に相当する)は5%であり、外国人の税金還付手続きも簡単であるため、短期の仕事、出張または旅行で台湾に来る方は、税金還付手続きを必ず行うよう覚えておいて下さい。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

台湾弁護士 蘇 逸修

国立台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、台湾法務部調査局へ入局。数年間にわたり、尾行、捜索などの危険な犯罪調査の任務を経て台湾の 板橋地方検察庁において検察官の職を務める。犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などで検事としての業務経験を積む。専門知識の提供だけではなく、情熱や サービス精神を備え顧客の立場になって考えることのできる弁護士を目指している。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。