第237回 MRTでの禁止行為

MRT(都市交通システム)では、駅構内に設けられた飲食禁止区域内や車内での飲食が禁止されている。これは、大衆捷運法第50条第1項第9号に基づく禁止行為で、飲食の他、▽チューインガム、ビンロウをかむこと▽所構わず痰(たん)、ビンロウの汁やくずを吐くこと▽紙くず、たばこの吸い殻、ガム、果物類やその皮、種、汁、くず、およびその他一般廃棄物を捨てること──が禁止されている。違反した場合、1,500台湾元(約5,600円)以上7,500元以下の過料に処される。

飲食禁止の例外

台北MRTを運営する台北大衆捷運公司(TRTC)は2016年、5歳以下の乳幼児は生理的欲求のコントロールが難しいことに配慮し、乗車中に飲食を必要とする状況があれば、禁止しないこととしたが、17年5月1日からは、飲食禁止区域内で、授乳を除き、乳幼児が飲食をしていれば、区域外に誘導する運用となっているようだ。なお、同社は、高齢もしくは健康状態により水を飲む特別な必要性がある場合は、罰を免除できるとしている。

ペットの持ち込み

同項第8号は、許可を得ずに、動物を携帯して駅構内または列車内に入ることを禁止している。

台北MRTの旅客心得第27条によると、動物を携帯して駅構内または列車内に入る場合、サイズが55×45センチメートルで高さ40センチを超えないペットキャリー、ペットカート(本体サイズのみで計算し、スタンドや車輪を含まない)、籠、容器に入れ、かつ包装が強固で、ふん、液体漏出の恐れがなく、動物の頭、尻尾および四肢が露出してはいけない。また、乗車券を買った旅客1人に付き1個を限度としている。

これに対し、高雄MRTの旅客心得第33条では、ペットキャリーなどの大きさは、3辺の和が220センチまでとされている。

その他の禁止行為

この他、次の行為も禁止されている。

・列車ドア、ホームドアが閉まるのを妨害、または無断で開く行為(同項第2号)

・係員が検札するのを拒み、または職務の執行を妨害する行為(第5号)

・許可を得ずに行う車内または駅構内での募金、宣伝品の配布または張り出し、物品の販売、その他の商業行為(第7号)


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

弁護士 福田 優二

大学時代に旅行で訪れて以来、台湾に興味を持ち、台湾に関連する仕事を希望するに至る。 司法修習修了後、高雄市にて短期語学留学。2017年5月より台湾に駐在。 クライアントに最良のリーガルサービスを提供するため、台湾法および台湾ビジネスに熟練すべく日々研鑽を積んでいる。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。